梅開き 下りにしかない 臨時駅 ――茨城県水戸市
左近の桜 水戸偕楽園


●葉を落とし 晴天を刺す 大銀杏 ――藩校:弘道館

 2006年2月25日、東京出張の翌日を利用して水戸市を訪れた。上野駅から常磐線特急で1時間20分を要し水戸駅に着く。偕楽園の梅祭りの開場とあって、水戸駅の一つ手前に臨時の「偕楽園」駅に特急が臨時停車した。
 計画としては市内を歩いてから偕楽園に至る予定のため、臨時停車駅では降りず水戸駅まで行く。水戸ではまず、水戸黄門の像が出迎え。駅を北口に出てすぐ、「弘道館」を示す標識に従って道を入る。武家屋敷風の立派な門がめざす建物かと思ったが、実はこれは三の丸小学校の正門であった。
 小学校の角を廻ったところに弘道館があった。徳川斉昭によって創設された、江戸時代最大の藩校である。教科内容が多彩で兵学から天文、医学までおよぶものであり、第15代将軍徳川慶喜も幼少期にここに学び、大政奉還の後はこの館内にこもったといわれる。
 弘道館前に観光用のボンネットバスが停車した。正面の道は水戸城址の石垣に架かる大手橋、徳川頼房像がある。弘道館の大イチョウが葉を落とした姿で立ち並び、銀色に輝く枝が晴天に向かって刺すように伸びていた。
水戸黄門の像 立派な門構えの三の丸小学校 江戸時代最大の藩校・弘道館
水戸城址の石垣と大手橋 観光用のボンネットバスが走る 弘道館の大イチョウ




●湖畔を走る家族連れ――千波湖

 
 水戸の市内の大部分は、他の都市と変わりない市街地であり住宅地であったが、ところどころに旧武家屋敷とおぼしき居合の道場などの建物がある。。
 JRと幹線道路をはさんで市街地と対照的に広大な千波湖と広々とした公園が開けている。湖の周囲が遊歩道となり、家族連れでジョギングする人たち、犬を散歩させる人たち、人馴れして道を歩いているコクチョウとそれを追いかけて戯れる子供たち、そんな微笑ましい風景が広がっている。
 千波湖から見る偕楽園は、湖岸から台地上に盛り上がっている土地にあった。
 
武家屋敷ふうの居合道場 千波公園 千波湖の遊歩道

       


●偕楽園「水戸の梅まつり」オープン

 偕楽園は、「水戸の梅まつり」開幕とあって、露天も建ち並ぶ縁日の賑わいであった。日本三名園の一つだが、入場料は要らなかった。
 園内には100種3000本の梅があるのだが、早咲きの例外的な梅を除いて、大半の樹はまだ花を咲かせていなかった。しかし対面が見通せないほどに木々が重なり合う梅林のスケールには、花が咲く頃の迫力を想像させるに余りある。
 帰りは臨時停車の「偕楽園駅」を利用したが、実はこの駅は下り線(水戸方面行き)にしかホームがない。東京へ戻るためには、一旦水戸駅まで一駅下ってから特急に乗らなくてはならなかった。
 土産物の中心は、やはり納豆関係と梅林に関係して梅干などが多かった。梅の名所、徳川時代の要所など和歌山と共通するところが多いが、水戸は平坦地で山が迫っていないことが大きな違いだった。

      
偕楽園の紅梅 偕楽園から千波湖を望む 見渡す限りの梅林だが花はまだなく……

    

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